18世紀から20世紀にかけての書画会と文人ネットワーク

研究代表者

Jingyi Li

Department of East Asian Studies
University of Arizona

プロジェクト内容

このプロジェクトでは、19世紀に書画会(しょがかい)を通じて文化の担い手たちの間で形成された社会的・文化的・経済的ネットワークや、書画会参加者を中心とする一次史料を調査する。特に、江戸、名古屋、そしてその中間に位置する近隣の町に焦点を当てる。書画会―文字通りに捉えると書画を楽しむ会―は、近世日本の文人墨客の社交の場であった。18世紀後半に知識人や美術品収集家のイベントとして始まった書画会は、19世紀半ばにはより大衆に開かれたものになった。書画会の集いの複雑性は、明治中期以降の日本の近代化のなかで、識字率の上昇や大衆文化の拡大、芸術や価値に関するイデオロギーの台頭によって変容した文化的ヒエラルキーを反映している。

研究目標

1830年代以降、書画会には多彩なスキルをもった愛好家たちが参加するようになった。参加者の多くは巨匠として名を残すことはできなかったが、同時代の人々は、書画会の会期中や会期後に、彼らの活動や交流について記録している。本プロジェクトでは、「引札」、「天覧目録」、「人名録」などの史料や、書画会関連の人物を描いた大衆小説などを用いて、近世日本のネットワーク研究の蓄積に努めたい。

「京・大坂の文化サロンとネットワーク 1780年~1880年」のプロジェクトと同様、本プロジェクトのデータベースは、江戸・名古屋地域における書画会に参加した人物の役割、関係、交流などを探り、あわせて近世から近代にかけての文人ネットワークの変容を理解するためのデータを提供することを目的とするものである。